タワマンへの投資がホットだが、どうやら投資目的の需要と居住目的の需要があるようだ。そこで、居住用の需要、つまり、実需の傾向を可視化するための推定モデルを作成してみた。一言でタワマンと言っても、統一的な定義がないので、ここでは国交省が資料で超高層マンションを説明する際の定義、つまり、20階以上の居住用マンションと定義する。
実需の傾向を知ることの重要性
タワマンの購入層は時代とともに変化する。実需で購入した層、つまり居住用とする人たちが多いということは、長期間所有することから価格が下落しにくいことを意味している。ただし、その層の浮き沈みにより需要が強くも弱くもなるので、特定の層が多いエリアはその層の経済的活況により需要が変化する可能性があることを意味する。この特定の層の経済的活況を投資に活用できるのではないかと考えた。
タワマンの実需の購入層の定義
まず、実需層の定義から。ここでは、①居住目的が主、②通勤・生活合理性を重視、③資金調達が給与・事業収入ベース、④一定期間住む前提(5年以上)、⑤ タワマン特有の価値を評価している、これらを満たす層を実需層とあつかう。
続いて、この定義に従った購入層を分類してみる。ここでAIにサポートを依頼する。それによると、タワマンの購入層を収入の源泉、住宅を選ぶ動機、市場に与える影響を考慮すると、A.高所得会社員、B.士業、C.地元・地縁、D.不動産賃貸業を営む人の居住用、E.親資金による購入に分類すると良いようだ。これらの層の価値観を推定するとこんな感じ。
| 層 | 主目的 |
|---|---|
| A.高所得会社員 | 生活利便・通勤 |
| B.士業 | 職住近接・ブランド |
| C.地元・地縁・旧住民 | 地縁・住み続ける |
| D. 資産家 | 資産管理+居住 |
| E. 親資金 | 時間短縮 |
A. 作成した高所得会社員のプロファイル
まずは会社員から。一般的に、タワマン購入者が多い業種とされるのは、金融系、IT系、コンサル・戦略系、大手商社、その他高収益独立起業(製造・エネルギー・医薬品など)とされる。こういった層は管理職や専門職の割合が高く、比較的年収も高い傾向にある。これは一般論として不動産マーケットレポートで語られる傾向なので、購入層の直接的なプロファイルを入手できる不動産マーケットレポートが言う事なので本当にそうなのだろう。比較的タワマンを実需で買っているとされる層のみを抽出した推定ランキングはこんな感じ。
この内、親からの資金援助が多いグループは自己負担資金が相対的に小さくなることから、市況変化時の行動特性が異なることから、「E.親資金による購入の実需の傾向」として切り出してまとめた。
| 順位 | 業種 | 主な購入者像 |
|---|---|---|
| 1 | 金融(銀行・証券) | メガバンク・証券本部 |
| 2 | 総合商社 | 大手商社本社 |
| 3 | IT・プラットフォーム | 外資IT・国内IT大手 |
| 4 | コンサルティング | 戦略・総合コンサル |
| 5 | 不動産デベロッパー | 大手不動産会社 |
| 6 | メーカー本社機能 | 電機・精密・医薬 |
※SUUMOリサーチセンター「首都圏新築マンション契約者動向調査」、不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」、国税庁「民間給与実態統計調査」などを参考に推定した。
B. 作成した士業のプロファイル
続いて、士業について。比較的タワマンを実需で買っているとされる層のみを抽出した推定ランキングはこんな感じ。こちらも所得が高いほど実需で買う層が増える想定で作成した。
この内、親からの資金援助が多いグループは「A. 高所得会社員層」と同様に市況変化時の行動特性が異なることから、「E.親資金による購入の実需の傾向」として切り出してまとめた。
| 順位 | 士業 | 主な購入者像 |
|---|---|---|
| 1 | 弁護士 | 大手法律事務所パートナー/独立 |
| 2 | 公認会計士 | 監査法人シニア+独立 |
| 3 | 税理士 | 独立・法人化で実需が強い |
| 4 | 弁理士 | 特許事務所・インハウス |
| 5 | 司法書士 | 独立高収益型 |
| 6 | 医師 | 都心勤務医・開業医 |
※SUUMOリサーチセンター「首都圏新築マンション契約者動向調査」を参考に推定した。
C. 作成した地元・地縁・旧住民のプロファイル
あまり知られていないが、タワマンは地元で商売している人の需要が根強くある。また、タワマンがたった場所に元々土地を持っていた人たちもいて、その場合は等価交換で居住している層もいる。この層は商圏から離れすぎず、地域コミュニティとのつながりがある場合が多く、地元に長期間居住する傾向が強い。地元購買層が多いとされる推定エリアはこんな感じ。
忘れてはならないのが、この層の子息の存在である。地元愛が強く、親元からの独立を期にタワマンを購入するそうが一定数存在する。この子息の場合は、「E.親資金による購入の実需の傾向」として切り出してまとめた。
| エリア | 寄与度 | 主な購入者像 |
|---|---|---|
| 月島・佃 | ◎ | 地縁 |
| 勝どき | ○ | 地元+資産 |
| 豊洲 | △ | 新住民中心 |
| 港区内陸 | △ | 商売層は少ない |
| 下町ターミナル周辺 | ◎ | 実需比率高 |
※歴史的な商店街や個人店舗が今も多く、地域性・地縁コミュニティの強い街ほど寄与度が高いと推定した。
D. 作成した資産家のプロファイル
簡単に言うと資産家の居住用購入を想定しているのだが、きちんと定義すると本業または準本業として不動産賃貸収入を持ち、そのうえで「自分が住む家」を別枠で選ぶ人となる。具体的には都内に複数の賃貸物件を持つ個人オーナー、相続で賃貸業を引き継いだ二代目・三代目、地方資産+都内居住のクロスオーナーを想定している。
| 区分 | 想定人数オーダー | コメント |
|---|---|---|
| ① 都内複数物件を持つ個人賃貸オーナー | 数万人規模 | 実需タワマン購入層としては「厚いが目立たない」 |
| ② 相続で賃貸業を継いだ二・三代目 | 数千〜1万人規模 | 相続世代に限定され、年齢帯も偏る |
| ③ 地方資産+都内居住(クロスオーナー) | 数千人規模 | 子の進学・二拠点居住など条件付き |
E. 作成した親資金購入層のプロファイル
最後に、親資金、つまり贈与・相続・立替など、親世代の資金が主因となって子世代が“自ら住む目的”で住宅を取得するケースを考える。想定する市況変化時はローンの有無で行動特性が大きく異なると思われるので、独立軸として検討することとした。
| 層 | 金利上昇 | 価格下落 |
|---|---|---|
| A. 高所得会社員 | △(影響あり) | △ |
| B. 士業 | △〜○ | ○ |
| E. 親資金実需 | ◎(ほぼ無関係) | ◎ |
実需の需要をエリア毎に可視化してみる
調査・作成した、各業種の勤務地、地元・地縁などを参考に、エリアごとに需要の強さやプロファイル参考にしてAIで推定居住割合を可視化したのが下記の図である。
- 会:会社員(金融・商社・IT・メーカー等)
- 士:士業(弁護士・会計士・税理士・弁理士 等)
- 賃:不動産賃貸業・資産家
- 地:地元商売・地縁層
- 親:親資金・相続流入
- 他:海外・富裕層
① 中央区湾岸
会 ████████████████ 40
士 ████████ 20
地 ██████ 15
資 █████ 12
親 ███ 8
他 ██ 5
② 港区湾岸
(芝浦・港南)
会 ████████████████████ 50
士 ██████ 15
資 ████ 10
親 ████ 10
外 ███ 10
他 ██ 5
③ 港区内陸
(白金・南麻布・元麻布・六本木・虎ノ門)
士 ████████████████ 35
資 ██████████ 25
会 ████████ 20
外 ██████ 15
親 ███ 8
他 █ 2
④ 江東区湾岸
(豊洲・東雲・有明)
会 █████████████████ 45
地 ███████ 20
士 ██████ 15
資 ███ 8
親 ███ 7
他 ██ 5
⑤ 品川・大崎
(品川・大崎・天王洲)
会 ████████████████ 40
会(商社/金融) ████████ 20
士 █████ 12
資 ████ 10
親 ███ 8
⑥ 日本橋・八重洲
(日本橋・茅場町・八丁堀)
会 ███████████████ 45
士 █████████ 25
資 ████ 10
親 ███ 8
外 ██ 5
他 █ 2
⑦ 西新宿タワー一帯
会 ██████████████ 35
士 ████████ 20
医 ██████ 15
資 ████ 10
親 ███ 8
⑧ 文京・都心内側
(小石川・本郷)
医 ████████████ 30
士 █████████ 25
会 ████████ 20
地 █████ 12
親 ███ 8
⑨ 下町ターミナル
(押上・錦糸町・亀戸)
地 ██████████████ 35
会 █████████ 25
士 ████ 10
資 ████ 10
親 ███ 8
⑩ 渋谷・青山
(渋谷・青山・恵比寿)
会 ████████████ 30
外 ██████████ 25
士 ██████ 15
資 █████ 12
親 ███ 8

