【前編】風景2銭切手を平面版と輪転版に分類してみた

切手
風景2銭切手

 新小判切手の初期印刷と後期印刷を見分けるのが残り5額面となったところで、ちょっと一休み。以前、風景2銭(暗い黄緑)の切手の色の分類に挑戦してみたで色調分類をしたので、今回はそれらを使って、今回は風景2銭切手の平面版と輪転版を分類することに挑戦しようと思う。

風景2銭切手の平面版と輪転版の見分け方

 風景2銭切手は1926年(大正15年)7月5日に発行された3額面のひとつで、基本の印刷色は暗い黄緑色、富士山が描かれている。ビジュアル日専 田沢切手編によると、風景2銭切手は凸版印刷技術の違いで更に分類でき、前述の1926年(大正15年)7月5日に発売が始まった平面版と、1932年(昭和7年)6月から発売が輪転版に分類できるようだ。平面版はボストークアルバムでは平台、輪転版はケーベルと読んでいるようだ。

 平面版とは文字通り平面的な板で印刷する方式に対して、輪転版は円筒状の版で高速印刷する方式とのこと。最近は明治時代に発行された小判切手のことばかり考えていたので、大正時代になると印刷技術が随分と進んだことを実感した瞬間である。

 そこで、論点になるのが平面的な実用版と円筒状の実用版の違いをどうやって見分けるかということである。ビジュアル日専 田沢切手編によると平面版と輪転版は印刷面のサイズが微妙に違っているようだ。カタログ値は表「風景2銭切手の平面版と輪転版との分類方法」を参照。平面版の方が短辺がやや大きいのだが、寸法差はわずか0.2mmしかない。定規を当てて手作業計測するには難しいレベル…

 AIで分類方法を調べたところ、平面版と輪転版とでは銭の表情、ベタ部、額縁や文字の特徴を見ると比較的容易に分類できるようだ。特に銭の表情を見ると良いらしい。

平面版(平台)輪転版(ケーベル)
印面寸法22.5 x 18.4 (mm)22.5 x 18.2 (mm)
線の表情線がやや太めで均一
山や建物の輪郭が丸い・おだやか
全体に柔らかい描線
線が細くシャープ
山の稜線・建物の角がキリッと立つ
線の切れが良く、エッジが鋭い
金属彫刻らしい硬さ
ベタ部
(空・山影・地面)
ベタがムラっぽい
インクが紙に染み込む感じ
黒(または藍)が深い
ベタが締まって均一
インクが紙表面に乗っている
黒(または藍)が深い
額縁・文字
(「日本郵便」「2 SEN」)
文字の角がやや丸い
横線・縦線の太さに揺らぎ
小さな欠け・にじみが出やすい
角が直角に近い
線幅が揃っている
小文字までクッキリ
風景2銭切手の平面版と輪転版との分類方法

分類に挑戦

 手作業では難しい計測作業ではあるが、サンワダイレクトの4K顕微鏡を使えば手作業よりは容易かつ普遍的な判定ができる。キャリブレーションをしていないので、寸法には意味がないのだが、下の2枚の写真の赤枠はどちらも同じ大きさとしている。ここで重要なのは、短辺方向の赤い銭と印刷面間の隙間である。平面版はほとんど無いのに対して、輪転版はやや隙間が空いていることがわかる。平面版と輪転版とはこのわずかな隙間を利用して分類することとした。この程度の差だと、顕微鏡を使っても赤枠の位置ズレによって簡単に見間違えるレベルである。ましてや切手がたわみは言語道断。

風景2銭切手 平面版
風景2銭切手 輪転版

平面版(平台)と輪転版(ケーベル)の印刷の特徴を調査

 ビジュアル日専 田沢切手編によると、平面版は5種類、輪転版は3種類の印刷色に細分化できるとのことなので、先日、4k顕微鏡による平面版と輪転版との分類したものをさらに色調分類を行っていた。風景2銭切手の色調分類については、風景2銭(暗い黄緑)の切手の色の分類に挑戦してみたを参照。その色調分類したものをアルバム保存してあったので、その8枚を使って印刷の特徴を調査することにした。一応、平面版が上段の5枚、輪転版が下段の5枚のつもりで並べてある。また、番号は上段左上から右、下段左から右へと番号を振った。

 結果は、、、素人の目視では違いがさっぱりわからない。残念。

 目視による分類は諦めて、AIで判定してみたのだが結果は安定しなかった。。。やり方を変えながら何度かAIで判定するも、その都度結果が変わってしまう。今回はプロンプトを作り込まずに検証したのだが、この場合、AIはろくに写真を調べずに答えたり、過去のやり取りに引きづられてやり方を変えてしまうことが多々あり、今回もその傾向が強かった。もう少しプロンプトを作り込んで調査場所を明確にして分類する必要がありそうだ。

調査対象の風景2銭切手 8枚

平面版(平台)と輪転版(ケーベル)とを見分けるポイント

 とはいえ、AIを使うとわかることもある。どうやら、平面版と輪転版とで差異が大きい場所は見抜けたようだ。その場所は、繊維への追従具合、菊花の放射線の安定性、山の横線の保持具合、文字の角の締りで、平面版と輪転版との差異が大きいので区別しやすいとのこと。

観点差異の大きさ理由(要点)
紙繊維への追従平面版は線が繊維方向に引きずられる/輪転版は無視して走る
菊花の放射線の安定性平面版は太さ不揃い・消失あり/輪転版は直線的で均一
山の横線の保持平面版は溶け・波打ち/輪転版は高倍率でも線として成立
文字(逓・信・2)の角の締まり平面版は角が丸い/輪転版は角が立つ
線の直進性輪転版が明確に優位だが、状態差の影響も受ける
点描(背景ドット)の規則性平面版は点が流れやすい/輪転版は整うが摩耗影響あり
エッジの鋭さ傾向差はあるがインク量・摩耗で逆転しうる
線幅の均一性両者とも状態が良いと差が縮む
滲み・溶けの量紙質・保存状態の影響が大きく版差が隠れることが多い
風景2銭の平面版と輪転版とで差異が大きい部位

AIによる平面版(平台)と輪転版(ケーベル)の分類に再挑戦

 AIが示した差異が大きいポイントのうち、写真の都合上、①繊維への追従具合、②菊花の放射線の安定性、③文字の角の締りの3箇所を重点的に見ることとして、再度AIで判定してみた。今回は切手1枚ごとに判定するのではなく、平面版にちかいものから輪転版に近いものへと順番に並べてみた。結果はこんな感じ。

① → ④ → ⑤ → ⑥ → ⑧ → ② → ⑦ → ③

 こちらの計測で平面版としたものが、輪転版の方に寄っていたり、輪転版としたものが平面版に寄っている。目視での印象ともズレている。何かがおかしい、、、目視での分類も微妙な差で判断しているので現在の平面版と輪転版の分類には自信が無いのだが、最終的にはAIによる順番付けと目視での分類を一致させたいものだ。

 やり方をかえて、AIで印刷面の4コーナーの座標を調べて、短辺の長さを計測して見ることにした。平面版と輪転版の短辺の長さの違い、それはわずか0.2mm。つまり、印面の細い線1本分程度の違いだ。その違いを識別できるほどの精度が求められるが、このやり方もインクが滲む影響やかすれる影響があって安定しない。風景2銭切手を平面版と輪転版に分類するためには、もう少しプロンプトの改良が必要そうだ。今日はここまで。

到達点のまとめ

 顕微鏡の写真を何度も何度も見ていたので、実は平面版と輪転版の特徴がおぼろげながら見えてきた。ただ、計測した寸法と印刷面の特徴の結果が一致していないので、この不一致をなくすことが求められている。今現在の課題はこんな感じ。

  • 印刷面の短辺の再計測。手動でも良いが、可能な限りAIでできるようにしたい。
  • 印刷面の特徴による再分類。手動でも良いが、可能な限りAIでできるようにしたい。
  • 目視の結果で色調分類をしていたのだが、どうやら平面版と輪転版の判断に誤りがありそうなので、色調分類のやり直し。
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